海となかまと音楽と、、、そして、知的パラダイムシフトのために・・・


by i-coast

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沈丁花の香が盛る11年前の3月3日の夕刻。

人事だった自分の職場に自宅から電話があった。

「コウ君、亡くなったそうよ。彼の実家に電話してあげて」

喘息の発作が出て、自分でバイクで病院に行ってから たった4日間で
肺炎の院内感染、気管切開、そして急に逝ってしまったのだ。
信じられなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
「え??」
その1年前に夢で見た、同級生で親友、コウの死。
些細なことで喧嘩をしていた。
夢の中で奴の遺体の前で叫んだ。「死んでしまうなら、仲直りしておけばよかった!」
中学時代から、洋楽や、外国人仲間を紹介してもらい、高校でも毎週末仲間で、
大学ではサッシペレレに連れて行ってもらい、奴の親父さんの車でドライブもした、そんなことを
夢の中で思い出していた。

・・・ほどなくして、仲直りした。もちろん、奴にはそんな話などしない。
そして、月2のペースで 他愛もない話でお茶をした。
今の新居探しもつきあってもらった。
夏も台風の中伊豆に出かけた。

3月のライブ予定があったが、どうしてもバンマスの無理な注文には従えず
2月中旬のリハーサルを休む。
そして コウとお茶。
「オレ、いつもお前をライバルだと思ってたけど、一緒に受けた高校落ちたことで
 少し恨んでた。お前にはいろいろ見習うことが多かったよ」
「え??」
「その顔、なんだかお前老けてるぞ!オレの方が全然元気だろ!」
なんだか、その時の奴はいつもの卑屈っぽい話と違って、何かを悟ったようだった。

そして、3月5日にまた会おうと 笑顔で別れた。
その日はそのバンドの国立でのライブだった、でも、気が進まない。
バンドは脱退しよう。今からなら代わりを探せば許してくれるだろう。

・・・・・
奴の死を聞いた夜、市川と松戸の境の静かな住宅地にある中学の担任の家に向かった。
寒い雑木林の中の道を車で彷徨った。
”・・・・・あいつも、今、こんな 森のようなところで彷徨っているのか??”

昔からユニークで、音楽好きでジョークとアートにあふれ、
週刊誌でも話題になった、担任が車庫に併設した迎えてくれた。

中学を出てから、進学、大手メーカーでブラジルを担当し、
退職して仕事を転々とし、これまで再起を狙っていた、、、、、そんな
進学とキャリアと失敗談・・・・

美術担当だった担任はコウの似顔絵に、自分の話した、奴のストーリーを書き込んでいく。
「これを荼毘に入れてくれ。残念ながら俺は行けない。皆にはよろしく」
「わかりました」

そして、翌日の通夜では、同じ仲間たちと 八柱の居酒屋で奴を悼んだ。
居酒屋のBGMは Automatic。
そうだ、コウが「涙が出るほど、いい曲だ」と言っていた曲だ。

そして、3月5日。告別式、そして、火葬。
本当はライブだった。
でも、偶然、脱退を選んだことにより、奴と最後までいることができた。
バンドの連中には、お詫びと、感謝の気持ちを伝えた。

脱退を決めたバンドの代わりにゴスペルの伴奏の話が来ていた。

The Preacher's Wifeという映画の主題歌。
仏式だったが、ゴスペルに心が洗われるようにして、奴を見送りながら思った。
「俺たちって、影響しあったり、競い合ったりで、お互いになんだか同じような道を歩いてきたよね。
 よかったら、お前の人生のつづき、俺の体と心の中でまた進めてみないか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

四十九日の朝。コウが夢枕に出た。
「おお!!」
コウはスーツを着て、新しくできた彼女を連れていた。
コウのその年の年賀状には
「今年は定職を探して、彼女を作って飛躍するぞ!」と書いてあった。
そうか、コウは 天国ですべてを手に入れたのかもしれない。


そして、今思うと、 コウが何度も連れて行ってくれたサッシペレレで聴いたボサノバやサンバを
その秋から演奏しはじめ、奴が上智大学のポルトガル語学科で学び 
大手メーカーで使っていたポルトガル語を自分が必死に勉強している。

もしかすると、時々、奴は天国から自分の中にやってきて、奴の人生の続きを楽しんでいるかもしれない。

沈丁花の花言葉は 「栄光」「不死」「不滅」。


あの、3月3日、奴を思って聴いていたい。
"Hold on, the help is on the way" Whitney Houston

"Automatic" Hikaru Utada

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by i-coast | 2011-03-03 02:41 | photo